建築経験者の転職先は、設計事務所・施工会社・発注者のうちどこがいい?

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建築を学んだ人や建築経験者が思い浮かぶ転職先は、設計事務所か施工会社が多いと思います。

しかし、建築プロジェクトにおける忘れてはいけない主要ステークホルダーとして発注者がいます。

発注者という職業は、あまり知られていないと思います。

建築工事の発注者といえば公務員を思い浮かべる人が多いかもしれません。

しかし、公務員だけではなく、大手企業など多くの資産を持つ組織は、専門の建設部門をもっています。

発注者という職業は決定権があり、やりがいがあります。

昭和を代表する建築家の村野藤吾は、クライアントの領分が99%、残りの1%が建築家の領分との認識をしています。

超大物建築家でさえ、建設行為の中心的立場は発注者だと考えていました。

 この記事は、設計事務所と施工会社、発注者という3つの職業を比較してみたいと思います。

目次

設計事務所という仕事

設計事務所での勤務には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

自分の発想を直接形にできる機会が多いです。

意匠、構造、設備と分野が分かれますが、様々なプロジェクトに関わり、多様な課題に挑戦することで、スキルの幅を広げられます。

自分が設計した建物が実際に建設されることで、大きな達成感と充実感を得られることが期待できます。

発注者の満足を得ることができると、さらなるモチベーションアップに繋がります。

デメリット

設計料の報酬は、工事費に比べると安価です。

プロジェクトの納期が厳しい場合、残業や休日出勤が必要になることが多いです。

発注者の要求やプロジェクトの進行に伴うプレッシャーが大きく、ストレスを感じることがあります。

 発注者、施工業者、他の専門家など、様々な関係者との調整が必要です。調整がうまくいかないと、プロジェクトの進行に影響を及ぼすことがあります。発注者の代理人という立場から、責任は重大です。

常に最新の技術やトレンドに追いつくために、継続的な学習が求められます。

 世間的に認められるためには一級建築士の資格取得が必須です。資格取得のために多大な労力を費やさなければなりません。

設計事務所での勤務は、創造的でやりがいのある仕事ですが、その反面、ストレスや労働時間の長さなどの課題も存在します。自分のキャリアやライフスタイルに合わせて、メリットとデメリットを考慮し、適切な選択をすることが重要です。

施工会社という仕事

施工会社での勤務には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

現場での実務経験を積むことができ、建築のプロセスを本質的に理解できます。

設計図から完成までの一連の流れを経験できるため、建築全般に対する理解が深まります。

大規模なプロジェクトの管理や調整、スケジュール管理、コスト管理など、マネジメントスキルが養われます。

大手企業の場合、安定した収入や福利厚生等を提供していることが多いです。

現場監督、施工管理、品質管理、安全管理など、様々なキャリアパスが存在します。

完成した建物を見ることで、具体的な成果を感じることができます。

デメリット

工期に間に合わせるため、残業や休日出勤が必要になることが多いです。

現場の進行状況に応じて、早朝や深夜に働くこともあります。

現場での作業は肉体的にハードであり、天候や季節によっては、暑さ寒さの中での作業が求められます。

工期の遅れや予算の超過、品質管理の問題など、プレッシャーが大きいです。

現場での作業には常に危険が伴うため、安全管理に細心の注意が必要です。

不注意や事故によるリスクが高いです。

遠方への出張や転勤が必要になることがあります。

1級建築施工管理技士の資格を持っている方がよいです。

 建築施工会社での勤務は、実践的な経験やプロジェクトマネジメントスキルを身に付ける良い機会ですが、体力的な負担や安全性の問題などの課題も存在します。

自分のキャリア目標や生活スタイルに合わせて、これらのメリットとデメリットを考慮することが重要です。

発注者という仕事

建築工事の発注者組織の建設部門での勤務には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

 プロジェクトの計画段階から完成まで、全体の進行を管理する立場にあるため、幅広い視野で建設プロジェクトに関わることができます。

プロジェクトの予算管理、スケジュール調整、品質管理など、多岐にわたる業務を経験できます。

発注者としての立場で、プロジェクトの方向性や重要な意思決定に関与できます。

建築物の仕様や設計、施工業者の選定において、重要な役割を果たすことができます。

 多くの発注者組織(特に公的機関や大企業)は、安定した雇用環境と充実した福利厚生を提供しています。

 多くの関係者(設計者、施工業者、行政機関など)と関わる機会が多いため、発注者という立場から人脈を広げやすいです。

デメリット

プロジェクト全体の成功に対する責任が大きいため、プレッシャーがかかることが多いです。

プロジェクト管理や調整のための会議、書類作成、報告業務が多く、デスクワークが主体となることが多いです。

社内や、設計者や施工業者、行政機関など、多くの関係者との調整が必要であり、意見の対立や調整の難しさがあります。

スケジュールや予算の制約の中で、関係者の要求をバランスよく満たすことが求められます。

公的機関や大企業では、手続きや規制が厳格な場合が多く、社内の調整など柔軟な対応が難しい場合があります。

立場的にマネジメントをする立場なので、モノづくりに直接携わりたい方には向きません。

多くの事業所を持つ企業の場合、転勤が必要になることもあります。

経験を求められるケースが多く、経験のない新卒では採用されることは難しいです。

 建築工事の発注者組織の建設部門での勤務は、プロジェクト全体を管理する責任と影響力が大きく、多様な経験を積むことができますが、その反面、責任の重さや調整の難しさなどの課題も存在します。

自分のキャリア目標や働き方に合わせて、これらのメリットとデメリットを考慮することが重要です。

まとめ

設計事務所、施工会社、発注者の仕事にはそれぞれメリットデメリットがあります。

建築経験者の転職先の検討においては、設計事務所や施工会社という選択肢が多いと思います。

この記事では、発注者という選択肢もあるということをお伝えしたいと思い、記事にしました。

実際に公務員だけでなく、一般企業における発注者の求人もたくさんあります。

 ぜひ発注者という職業も選択肢に加えて頂き、検討してみてください。この記事が参考になればうれしいです。最後までお読みいただきありがとうございました。

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