ご紹介したい書籍は「質的研究の考え方」大谷尚著 です。
この書籍は質的研究とは何かということが網羅的に記述されています。
構成は、第Ⅰ部は質的研究に関する記述。第Ⅱ部は質的データ分析手法のSCATのⅡ部構成です。
私の研究アプローチはSCATではありませんでしたが、第Ⅰ部の解説が私にとって非常に参考になりました。
この書籍を読んだきっかけ
私は、50歳を前にして、社会人大学院の門を叩きました。
無事2年で修士課程を修了しました。
私はこれまで大学に通ったことはありません。
建築の専門学校卒でした。実務経験を経て、社会人大学院生になりました。
アカデミックな世界とは全く無縁でした。
そんな私が行った社会人大学院は、修士論文が必須でした。
修士論文が不要の大学院があることも知っていましたが、せっかく大学院に行くのであれば、論文というものに取り組んでみたいと考えました。
論文執筆を舐めてました。精神的にしんどかったよ!
論文執筆にあたっては、たくさんの論文、書籍を読みました。
この書籍を知ったきっかけは、在学中のコミュニケーションツールへのクラスメイトの書き込みでした。
質的研究について分かりやすく解説していると、この書籍を絶賛していました。
私自身、質的研究による論文執筆を検討している中、どのようにアプローチすればよいか、いまいち分からず、そこまで絶賛しているなら、と購入しました。
どんな内容?
この書籍は、初学者である私の質的研究についての様々な疑問を分かりやすく説明してくれました。
質的研究と量的研究の違いは?
質的研究はどんな研究に採用するか?
質的な研究が「研究」であるための要件とは?
質的研究における客観性や信頼性、再現性は?
研究参加者の保護について
研究参加者の表記は実名か匿名か?
研究参加者に適している要件とは?
質的研究におけるデータの改ざん、ねつ造について
データ採取手法(インタビューなど)
以上はほんの一部ですが、これらの疑問などに対して論理的に丁寧に解説されています。
文章も非常に読みやすいです。
初学者の私でも質的研究に関する知識を整理することができ、理解が一層進みました。
テクニカルな部分や倫理面なども、網羅的に書かれていて、はじめて質的研究に取り組もうとされる方は必見です。
特に、質的研究と量的研究の違いについての解説は、私に質的研究を用いて研究する自信を与えてくれました。
質的研究は多くの分野で用いられています。
社会学、人類学、文化人類学、心理学、教育学、看護学など、その他書ききれませんが、多岐にわたります。
どの研究分野においても質的研究を用いる初学者であれば、この書籍をおススメします!
質的研究の理解が深まるよ!
今回は、私が修士論文執筆に際して役に立った書籍を紹介しました。
これから、質的研究を用いて論文を執筆される方の参考になればうれしいです。最後までお読みいただきありがとうございました。