私は、平成17年と平成18年の一級建築士製図試験に落ちました。
平成17年はランクⅣ。平成18年はランクⅡでした。
当時の試験制度によるカド落ちを経験後、平成20年の製図試験でようやく合格することができました。
今から約20年前になります。
今回は、平成17年の製図試験に落ちた原因を纏めてみました。
平成18年の製図試験に落ちた原因を纏めた記事は→こちらから
昔の話ではありますが、私の試験に落ちた経験が、これから一級建築士製図試験を受験される方へ、反面教師として何かのお役に立つことがあればうれしいです。
資格学校を選ぶ
学科試験はすべて独学でしたが、製図試験に向けて資格学校に行くことは予め決めていました。
学科試験が終わってすぐ、資格学校の即日採点サービスを利用して、合格していることが分かってから、総合資格の短期のコースを申し込みました。
当時は、日建学院と総合資格の2択でしたが、私としてはどちらがいいとか特にこだわりはありませんでした。
即日採点サービスに2つとも申し込んでいましたが、結果が分かったあと、営業の電話が早かった方を選んだ記憶があります。
製図試験対策を始める
平成17年は私にとって、はじめての製図試験でした。
はじめての一級建築士製図試験でテンションが上がってたよ!
実務では、手書きで図面を書くことは殆どありませんでしたが、二級建築士製図試験を合格した経験がありましたし、自信はありました。
とにかく図面を書きあげれば大丈夫じゃないかと安易に考えていました。
とは言え、総合資格の講義で出された課題には、真面目に取り組んでいました。
準備期間は2か月と少ししかありません。総合資格の短期コースを始めた当初は、作図に非常に時間がかかり、制限時間を大きくオーバーしていました。
さすがに焦りましたが、課題はたくさん出ますので、それらをこなしていくと、徐々に作図スピードは上昇しました。
試験日に近づくころには、なんとか制限時間内で書き上げることができるようになりました。
しかし、課題の練習問題の読み込みが甘く、設計条件を書き漏れてしまうことも多々ありました。
平成17年製図試験本番
平成17年の課題は、「防災学習のできるコミュニティ施設」でしたが、例年にない変わった設計条件でした。
既存建物があって、まさかの増築。たくさんこなした課題でも増築は見たことがありません。
かなり動揺したことを覚えています。これがいわゆるビックリ玉です。
落ち着きを取り戻し、問題文をチェックしました。とにかく漏れが無いように。
設計条件には「既存建物の主要構造部は撤去してはならない」とありました。
当時も、主要構造部には「床」も含まれることは知っています。しかし、試験中は焦っていて読み飛ばしていました。
エスキスを仕上げ、何とか図面を書き上げて、残り時間が少ない中、最終チェックをしていました。
試験終了直前で、設計条件だった、エントランスホールに「吹抜け」を設けていないことに気づきました。
私のプランはエントランスホールを既存建物に計画していましたが、慌てて「吹抜け」を既存建物に設けてしまいました。このことが意味するのは、既存建物の主要構造部(床)を撤去してしまったことになります。
その時は当然そのことには気づいていません。
試験中は呑気にも、問題を見返してよかった!減点を免れた!よく気付いた俺!と思いました。
ただ、面積表があわないことには引っ掛かりがありました。
「既存建物の主要構造部を撤去してはならない」ので、既存建物部分の床面積は固定されていました。
既存建物に吹抜けを設けると2階の床面積が減ってしまいます。
ここで気づくべきでした。
しかし、かなり焦っていたこともあり、そのことを深く考えませんでした。
正確には深く考えないようにしてしまいましたが、これが命取りになりました。
一旦チルして立ち止まって考えればよかったよ!
結局、問題をよく読んでいなかったということです。
気のせいかもしれませんが、試験終了間際に見直しをしていたら、やたらと試験官の視線が気になりました。
はっきりと私が書いた図面を見ている。
露骨に凝視している。
思い返せば、何かを私に伝えようとしているようでした。
試験終了から合否発表まで
試験が終わった時の感想は、とりあえず最後まで書き上げたし、大丈夫でしょ!と能天気に家路につました。
家に帰ってから、なんの気なしに、建築士試験の掲示板5chを見て愕然としました。
既存建物の吹抜けは1発アウトとの書き込みが多数あります。
その書き込みを見て、初めて事の深刻さに気づきました。
これはダメだ・・・と思いましたが、ひょっとして減点で済むかも、と希望観測的に合格発表まで掲示板へ頻繁に通い続ける生活がはじまりました。
おそるべし、5ちゃんねる!
試験後しばらくしてから、耐震偽造問題がえぐいくらいに報道されはじめました。
それでほとんど諦めることになりました。
結果は納得のランクⅣ。
後の祭りですが、こんなことなら、吹き抜けを設置し忘れたほうが、減点で済んで、合格していたかもしれません。
総合資格の演習問題は、今でも質は高かったと思っています。
不合格については、当時も今も、想定外の問題に対応できなかった自責だと納得しています。
ですので、平成18年も総合資格に申し込みました。
当時のその年の総括としては、まずは学科試験を合格してよかった。
当時の試験制度では、製図試験はもう一回だけチャンスがあったので、次はいけるだろうと楽観的でした。
たっぷり準備期間もあるし、と。
この楽観的な気持ちが来年の不合格に繋がったと思っています。
平成17年の製図試験から学んだこと
平成17年一級建築士製図試験から学んだことは、
1.妥協しないで理解するまで問題文をよく読む。
2.問題文に書いていることが全て。勝手に自分で都合のいいように解釈しない。
3.図面を書きあげるだけでは合格にはならない。そんな簡単な試験ではない、の3つです。
しかし、これらは平成20年に合格した後に至った考えで、17年当時は深く考えていなかったです。
ビックリ玉にやられてしまった、ついていなかった、くらいの認識でした。
その考えが平成18年も落ちてしまう要因になってしまったと思います。
以上参考になればうれしいです。最後までお読みいただきありがとうございました。