建築士の資格をとったら、もう勉強をやめようと思っていませんか?
一級建築士の資格をとれた時は、正直もう勉強はこりごりだと思いました。
しかし、せっかく苦労して難易度の高い資格を取ったのに、建築士の資格だけで満足するのはもったいないです。
建築士の資格を持っていると、他の資格取得の際に優遇されることがあります。
優遇される内容は、試験の一部免除や受験資格の緩和などです。
優遇措置が無い資格でも、建築士の知識や経験は、他の資格取得の際に役立つことがたくさんあります。
この記事では筆者の経験に照らして、建築士の資格保有者が、複数の資格取得を目指した経緯を振り返ります。
筆者の資格取得履歴
以下の順番で資格を取得しました。
平成 6年 二級建築士
平成10年 宅地建物取引主任者
平成16年 福祉住環境コーディネーター(2級・3級同時合格)
平成20年 一級建築士
平成21年 1級建築施工管理技士
平成28年 建築設備士
取得時からかなり年月が経っている資格もあり、試験の制度や問題の傾向など、変わっている部分もあります。
しかし当時の資格自体は存在していますし、大枠では変わっていません。
宅地建物取引主任者は宅地建物取引士へ名称が変更になっていますが、業務内容や役割に大きな違いはありません。
この記事を参考にしてキャリアアップにつなげて頂ければうれしいです。
私の資格取得のルートは、以下の2つに分けることができます。
ルート1
二級建築士
↓
宅地建物取引主任者(現宅地建物取引士)
↓
福祉住環境コーディネーター(2級・3級)
ルート2
一級建築士
↓
1級建築施工管理技士
↓
建築設備士
資格はひとつより、ふたつ、みっつ持つことで相乗効果が期待できます。
ダブルライセンス、トリプルライセンスを狙って、自分の付加価値を高めて、キャリアアップを狙いましょう。
建築に関連した複数の資格を持つことで、転職などキャリアアップに有利に働いたと実感しているよ!
宅地建物取引士
建築士と宅地建物取引士(以下、宅建士)は親和性が高いです。例えば、建築士が設計・施工を管理し、宅建士が不動産取引や販売を担当することで、プロジェクト全体が進行していきます。
建築と不動産の両方の資格を持つことで、よりスムーズにプロジェクトの進行に寄与できると考えます。
建築士の資格を持っていても、宅建士の資格取得に優遇措置はありません。
しかし、建築士の知識は、宅建士の資格取得に役立つ部分があります。
都市計画法や建築基準法などの法令上の制限に関する問題や、土地の形質、建物の形質・構造と材料に関する問題は、建築士の知識を活かすことができます。
これらの問題は、令和5年の試験問題では、全50問中10問も出題されています。
もちろん、建築士の資格を持っているからといって簡単に宅建士の資格が取れるわけではありません。
しかし、大きなアドバンテージがあることは事実です。
そのぶん、他の科目へ勉強時間を費やすことができるからです。
筆者が宅建士の資格を取ろうと思った動機は、当時から人気の高い資格だったことと、建築とは親和性が高いので、持っていたら何か役に立つことがあるかも知れないな、という程度でした。
受験対策は、過去問を中心に勉強しました。
特に、宅建業法や民法、税金といった建築以外の勉強に時間を費やしました。
結果は一発合格することが出来ました。
試験に合格して、1度は登録手続きをしましたが、業務では現宅建士の資格は使用しませんでした。
それ以降は1度も更新していません。
福祉住環境コーディネーター
福祉住環境コーディネーターは、医療・福祉・建築について幅広い知識が必要です。
各種の専門職と連携をとりながらクライアントに適切な住宅改修プランを提示します。
日本は急速に高齢化が進んでおり、高齢者の割合が増加しています。
社会の高齢化と在宅介護の推進に伴い、その需要は今後ますます高まることが予想されます。
この資格だけでマネタイズするのは難しいと思いますが、建築士など、他の資格と合わせて保有することにより、その効果を発揮することが期待できます。
建築士の資格を持っていても、福祉住環境コーディネーターの資格取得に優遇措置はありません。
しかし、建築士の知識は、福祉住環境コーディネーターの資格取得に役立つ部分があります。
福祉住環境コーディネーターの資格は1級~3級まであります。
各級によって試験科目と出題比率が異なります。
出題範囲は、おおむね介護、医療、福祉、建築、福祉用具に関する内容になります。
そのうち建築に関する出題範囲は、各級によって異なりますが、全体の2割前後です。
建築の知識だけでは試験に合格することはできません。
しかし、建築士の資格があると資格取得に際してアドバンテージになります。
筆者が福祉住環境コーディネーターの資格を取ろうと思った動機は、当時の会社の同僚達が自己啓発の一環で、この資格を取ろうとしていたので、「じゃあ俺も」という軽いものでした。仕事とはほとんど無縁の資格でした。
福祉住環境コーディネーターの2級と3級を同時に受験し、両方合格することが出来ました。
勉強量は宅建士よりかなり少なくてすみました。テキストを2,3周読んだ程度です。
資格に関する詳細の情報は、東京商工会議所のホームページを参照してください。
1級建築施工管理技士
建築工事の施工管理を行うことができる資格です。
工事規模の上限はありません。
施工会社では重宝される資格です。
一級建築士の資格を持っていると第一次検定が免除され、第二次検定の合格で建築施工管理技士になれます。
めちゃくちゃ優遇されます。
筆者が1級建築施工管理技士の資格を取ろうと思った動機は、第一次検定の免除があったからです。
この資格があると、監理技術者の資格要件を得ることができます。
この資格を持っておけばいつか役に立つかもしれないし、「一応とっておくか」という軽い動機で、試験勉強もそこそこに受験に挑みました!
対策は、日建学院のテキストを活用しました。
第二次検定の勉強に長時間を費やしたということはなく、あっさり合格したという印象です。
建築設備士
建築設備全般に関するスペシャリストです。建築設備に関しては、建築士にアドバイスを行えます。
建築士の資格を持っていても、建築設備士の資格取得に直接的な優遇措置はありません。
しかし、受験資格について優遇されています。詳細は、建築技術教育普及センターHPでご確認ください。
筆者が建築設備士の資格を取得しようと思った動機は、転職のためでした。その経緯の詳細は別の記事に載せていますのでもしよろしければご覧ください→こちらから
まとめ
その他、一級建築士の資格を持っていると、弁理士や土地家屋調査士、インテリアプランナー、建築積算士などの資格取得に際して、一部試験が免除になるなどの優遇措置があります。
一級建築士の資格ってすごいんだね!
優遇されるのに条件がある場合や、試験制度は変更されることがあるので、詳細は各HPでご確認ください。
筆者は複数の資格を持っていることにより、高い専門性をアピールでき、転職などのキャリアアップに活かすことが出来ました。
筆者が保有している資格のうち、独断と偏見で難易度順にしてみました。
一級建築士>二級建築士>建築設備士>宅建士>1級建築施工管理技士>福祉住環境コーディネーター
異論は認めます。
建築士の資格をとることは大変ですが、とったらそれで終わり、ではもったいないです。
建築士の資格を活かして、さらに複数の資格取得を目指してみませんか。
以上が筆者の経験に基づいた、建築士の資格を軸に、複数の資格取得を実現した流れになります。皆様の参考になればうれしいです。最後までお読みいただきありがとうございました。